タイにおける会社閉鎖・清算・撤退について

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タイにおける事業運営を終了するとき、取りうる方法は以下が考えられます。

①株の売却(譲渡)
②税務署に対し、事業の一時休止を届け出
③清算

①は手間・費用・期間とももっとも少なく済む方法ではありますが、買い手側が社内状況を熟知しているか、強い信頼関係があるといった場合に限られると思われます。

②について、タイにおいては「休眠登記」は存在しませんが、歳入局(税務署)に対して「事業の一時休止」登録をすることにより、それに比較的近い効果を得ることになります。ただし、登記場所を維持しなければならないこと(→家賃の支払い発生)、また毎月の税務申告・毎年の決算・確定申告を続ける必要があるため、あくまで一時的な手段となります。
もしかしたら事業を再開するかもしれない、もしくはすぐに清算手続きに入れない事情がある場合に検討すべき手段といえます。

③以下は会社清算を行なう場合の流れになります。

1株主総会にて解散(清算開始)を決議。清算人の指名。
2総会での決議から14日以内に「清算登記」を行なう…この日が会計年度末になる
3清算登記から14日以内に債権者に対し通知。
歳入局(税務署)への清算開始を届け出。
4資産売却、債務整理(実際には清算登記前から開始)
5清算用監査報告書の作成 →株主総会で承認
6歳入局へ決算書・法人税確定申告書を提出 …清算の登記から150日以内
7税務調査が開始されるため、処々の対応。 数ヶ月~2,3年
8歳入局からVAT登録抹消の通知を受ける(実質上の税務調査完了通知)
9清算完了承認の株主総会
10清算完了の登記→法人抹消
※清算登記の日から3ヶ月毎に、商務省に対し進捗状況の報告義務。

一般的には取締役自身または弁護士を清算人に指名し、タイ民商法典および税法の規則に沿って各ステップを進めていくことになります。

75%以上の株主の同意があり、かつ債権者との争いが無いという前提でも相当の期間を要します。
税務調査(タックスクリアランス)の完了までに最低数ヶ月、製造業など資産・事業規模の大きい場合は2,3年間かかることもあります。

特に個人経営の企業もしくは本社からの支援を受けられないケースでは、「撤退資金」の用意について配慮が必要です。撤退にかかる主な費用として:

①会計・監査の費用
②弁護士費用(主に登記局関連)
③事務所・工場などの原状回復費用
④労務費(解雇金など)
⑤税金

①~④についてはおおよそ事前に見積もることが可能なはずですが、⑤については税務調査の結果、想定以上の税金を納めなければならないケースがありえます。

契約書に不備のある契約、証拠の不十分な支出、源泉徴収漏れなどを指摘された場合。また、帳簿価格以下でしか資産(設備など)を売却できなかった場合、差額に対してVATの納付義務が発生する可能性があるほか、その差額は損金(経費)にならない…といった点。さらにこれらに加算税が付加され、税額が大きく膨らむことになりえます。
余談ですが、判例等を無視した要求を税務調査官が突きつけてくることもままあるとか。

「進出よりも撤退のほうがお金がかかる可能性がある」という点を踏まえ、撤退については冷静に決断をおこなう必要があると考えます。

本日もありがとうございました。